ここのところ音楽ニュースを見ていると、やたら懐かしい名前に出くわします。

 95年の大ヒット曲「DA.YO.NE」で一躍時の人となった、EAST END×YURIの市井由理(44)が久々にラップを披露したそうです(MAGiC BOYZの1stアルバム『第一次成長期~Baby to Boy~』の収録曲「パーリーしようよ」に参加)。


 また、エレファントカシマシがNHKドラマの主題歌を歌うので紅白に出るんじゃないかと言われていますし、ホフディランは古巣レコード会社ポニーキャニオンからメジャー復帰。

 あと、スピッツも女性バンド「ねごと」をはじめ、色々な若手ミュージシャンにカバーされていますね。

 他にも、昨年前フリなしで新曲をリリースした、メロコアブームの火付け役のバンド、Hi-STANDARDも18年ぶりにニューアルバムをリリースするそうですし、日本語ラップの雄、KICK THE CAN CREWも復活しました。

Hi-STANDARD ハイスタンダード

Hi-STANDARD 公式サイトhttp://hi-standard.jp/

 ここに宇多田ヒカルや小沢健二などのビッグネームも加えれば、完全に90年代リバイバルと言っても差し支えない状況です。

 その要因は色々だと思いますが、音楽不況に突入する前にうまいこと売れた人たちにもう一回頑張っていただこうってところなんでしょうかね。

覚えてる?リバイバルしてほしい90年代の曲たち



 というわけで、上記のようなビッグネーム以外にも、この懐古モードの折、どさくさまぎれで聴けたらいいのになと思う曲をいくつかご紹介しましょう。

①朝日美穂 「唇に」

 97年にメジャーデビューを果たした彼女の4枚目のシングル。まともな日本語で書かれた歌詞、“間”のある演奏、空気のこすれる瞬間が立ち上がるような楽器のサウンド、語り掛ける抑揚のやわらかさに絡みつくしなやかなメロディ。どこをとっても文句のつけようがない一曲です。

②かの香織 「午前2時のエンジェル」

 80年代から「ショコラータ」というバンドで活動していた彼女が96年に放ったスマッシュヒット。昨年、『爆報!THEフライデー』という番組に登場し、実家の造り酒屋を継いでいると報じられましたが、もう一度この曲だけでもどこかでやってくれないものでしょうか。

 それが無理ならば、せめて公式動画だけでもアップしてほしい……(MP3で販売中)。

かの香織③すかんち 「恋のマジックポーション」

 ROLLY率いるロックバンド「すかんち」。『ダウンタウンのごっつええ感じ』のオープニング曲でしたね。バンド再結成は難しいのかもしれませんが、どこかでアコギ1本でもいいからこの曲が聴けたら嬉しいです。

 イアン・ハンターが「Roll Away The Stone」でやっているように。

すかんち④GREAT 3 「STAR TOURS」

 今でこそ色々なジャンルを手際よくまとめて、それっぽく聞かせるバンドで溢れかえっていますが、GREAT 3ほどロック的な衝動で突っ切ってしまった人たちはいないのではないでしょうか。

 だけどただがむしゃらなのではなく、ユーモアと色気のある楽曲、演奏が印象的でした。1996年、トム・ペティの「Walls」とともに、個人的に最もよく聴いた一曲です。

⑤Key of Life 「Love Story~時をこえて今も」

 歌の途中で日本語のラップが入ってくるのはダサいJポップの象徴みたいな言われ方をしますが、この曲もその意味ではダサいのです。だけど、このダサさがなければ懐かしくないし、後を引かなかっただろうと思うと、やっぱり物事はカッコいいだけではいけないのだなと感じたりもします。

 小田和正の「ラブ・ストーリーは突然に」をサンプリングした96年のスマッシュヒットです。

⑥篠原ともえ 「ココロノウサギ」

 というわけで、一番聴ける可能性が高いのが彼女の歌でしょうか。<おめでとう きれいになった おめでとう>という歌詞の通りになった彼女が、20年の時を経て歌う「ココロノウサギ」は感動モノです。

篠原ともえ ALL TIME BEST

2017年発売の『篠原ともえ ALL TIME BEST』には「ココロノウサギ」も収録

 さて、他にもまだまだいっぱいありそうですが、改めて思ったのは公式動画の少ないこと。特に日本だけが立ち遅れているのかどうかはよくわかりませんし、商売上難しいことがあるのかもしれませんが、少なくともあらゆる年代の幅広い音楽にアプローチしやすい状況を作っておいても損はないはずです。

<TEXT/音楽批評・石黒隆之>
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