(C)山ちゃん

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お久しぶりです、山ちゃんです。

今回はプチ整形体験から飛躍して、“ラブドール”になってきました!

ラブドールは、ダッチワイフの中でも高価なシリコン等を素材として作られている高級な代物。昨年小学館より写真集『LOVE DOLL×SHINOYAMA KISHIN』発売され、その展覧会は長蛇の列を作るほどの人気でした。今、ラブドールはラブドール愛好家だけでなく、サブカル・アート層にも認知が広まっているようです。

ラブドールといってもみんな同じ顔ではなくいろいろな造形があるのですが、製造工程のフィニッシュでは特徴的な“ラブドール顔メイク”で仕上げられているそうです。人間をそんなラブドール仕立ててくれる『人間ラブドール製造所』という変身サービスが大阪にあると小耳に挟み、変身願望の強い私は早速、大阪へ!

世界初のラブドール変身体験が出来るという人間ラブドール製造所』では、ヘアメイク(顔面製造化粧師)さんがラブドール風メイクを施してくれ、カメラマン(製造写真技師)さんラブドール風に撮影をしたうえでラブドール風の写真加工をしてくれます(その写真データをもらえるのです)。

今までラブドールはあくまでも鑑賞物だったり欲望の眼差しの対象だったりで、「自分」の向こう側の物体でした。それに自分がなってしまうという逆転の発想が、斬新。まさか自分がラブドール風になる日が来るなんて予想もしていなかったし、このサービスを知るまでは、そんな発想すらなかった。そりゃ、世界初だわ。

というわけで、ラブドール変身レポをお届けします!(※脱ぎません)

ラブドール風ヘアメイク

Webサイトから予約申し込みをし、メールにて製造師さんと打ち合わせをして日時、撮影場所を決めます。人間ラブドール製造所』に専用の撮影スタジオはないので、今回はカメラマン女性の知人のお宅を一軒家スタジオとしてお借りして撮影をする事になりました。基本的には、こちらの一軒家スタジオハウススタジオを借りるなどして撮影しているそうです。ラブドールらしさを強めるには、お家っぽい場所が良いそう。確かにラブドールは、購入の人の自宅に保管されるものだから納得納得。ラブドールを連れてお出かけする愛好家さんも中にはいらっしゃいますけど、太陽光に照らされるといくらラブドール風メイクをしていても「THE人間」の生々しさが出ちゃいそうですしね。

そして事前に「ラブドールネームを考えるのですが、そんなの思い浮かばない~~~~。名前が思い浮かばなかったらこちらで決めますよ、とのお言葉に甘えて、命名は製造師さんにお任せ。ラブドールメイクが完成してから、そのときの印象で命名して下さることになりました。よう。しかも、撮影中はラブドールネームで呼んでくれるようなのだが、ちょっと恥ずかしい(笑)

予約当日。衣装も用意してもらえるので、手ぶらで撮影場所となる一軒家スタジオを訪問しました。出迎えてくれたのは施術着を着用した女性2人。ラブドールメイクを施してくれる顔面製造化粧師のIMAさんと、写真を撮影する製造写真技師のLEiyAさんですこのお2人を含め、製造所のスタッフ(製造師)は女性オンリー。ラブドール変身サービスは女性だけで企画・運営しているのです(※サービスの利用は男性のお客も可能!)。

まずは衣装決め。

(C)山ちゃん

ラブドールらしさって…(C)山ちゃん

用意していただいた中から自分でセレクトしていくのですが、どれがいいのか悩む悩むいちご柄のセットアップと白スリップワンピの2択で決めかねていたら、途中で着替えて2着とも着る方向を提案していただきました。

衣装のこだわりは「ちょっとダサい服をチョイスしている」こと。これは、ラブドールを所有するのは男性であり、女性の流行やお洒落が分からないまま服を着させているほうがリアルだろうという意図だそうです。

衣装に着替えたら、まずはカラコンを着用。黒目が大きくなるカラコンを着用すると“人形感”が出るのです。このカラコンもIMAさんが用意してくれました。ただし私は極端に視力が悪いので、度入りのカラコンを用意してきましたが……カラコンを装着したら、いざメイクスタートです。

(C)山ちゃん

IMAさんによるメイク中。ドキドキ。(C)山ちゃん

(C)山ちゃん

タレ眉、タレ目がポイント。ドールになりきるつもりで、あらかじめメザイクで二重幅を広げてから参戦しました。(C)山ちゃん

丁寧に化粧水、乳液を塗ってもらいマッサージもしてもらってから下地作りへ。ラブドールへの製造工程は、完成するまで本人は見ない(完成したときにワァオ!と驚いてほしいから)のでメイク中も鏡は無し。身を任せ、丁寧にメイクをしてもらいます。人に顔を触られると眠たくなるような気持ちいい感覚になりますよね……

ちなみに、製造中のBGMはなんと工場の機械音! ガコン……ガコン……

メイク完成後、IMAさん・LEiyAさん・私の3人でウィッグを選びます。この段階でもまだ自分のメイク姿は鏡で確認していません。ロングヘアーの前髪重めなウィッグを被り、整えてもらってラブドール製造が完成! つ、ついにラブドールへと変身した自分を鏡で見ることに……。ドキドキ!!

(C)山ちゃん

お!おぉぉぉ!!これはまさに…!(C)山ちゃん

そこには普段の自分とは全然違う自分が立っていました。

ラブドールのように大きく開いた垂れ目。大胆な下がり。透明で無機質な肌。小さくてぷるんとしている唇。大胆かつ丁寧で繊細なメイクに、IMAさんの「変身させるメイク力」を感じますIMAさんはラブドールの写真集などを見て研究し、「ラブドールっぽさ」を出すポイントを押さえたメイクを開発、実践しているそう。

髪の毛は少しボサついているのですが、これも衣装がちょいダサなのと同じ理由。ラブドール所有者の男性は長い髪の毛の扱いも慣れていないだろうという理由から、少しボサつかせているのだそうです。まだ撮影してもないし写真を加工した後でもないのに、そこはかとなく漂うラブドール感……! 生きているのに不思議です。

ラブドールへと変身した私に名前付ける段になって、名前の頭に「の」が付く名前が似合うのでは? と提案されました。のぞみ…、のりこ、のん、のの…。う~ん、ちょっと違うな~と試行錯誤した結果、「野乃花(ののか)」に決定!

そんな女の子らしい可愛い名前、照れくさい……と思いつつも、可愛い名前を付けてもらえて上機嫌な私がすでにいました。

そう、この製造所は、女性が外見で抱えるコンプレックスを取り払って、自分を大切に出来るようになったり、やさぐれた心を癒したりという効果をもたらすことを意図しています。可愛くしてもらって、可愛い扱いをしてもらうと、恥ずかしいけれどうれしいんですよね……。そして撮影が始まるとノリノリになっていく自分がいるのでした。

褒められセラピー体験

「野乃花ちゃん」「ののちゃん」と呼んでもらいながら、いざ撮影スタート。まずは鏡の前で洋服を選んでいるふうのポージングですが、ちゃんとLEiyAさんがポーズを細かく指示してくれるから有り難かったです。

手でシャツを持って、脇をもっと上げて、目線もここ! と、ひとつひとつ指示してもらったのですが、脇を上げると途端に人形っぽい雰囲気になることがわかりました。関節を動かしてポーズを取らされてる感が一気に出るんですよね。

そして表情のポイントは、口元をポカーンと開けること。口元ポカーンだと馬鹿丸出しな顔にならないかな、とも思ったけれど、ちゃんと人形っぽく見える目線の位置を探してくれるので、そこは不安にならなくても大丈夫でした。

確かにラブドールの口元って、少し緩さがある気がします。キリッと唇を引き締めた表情のラブドールは見たことがありません。目線もですが、緊張感が少し緩んだ表情は、意思がわからず、いかようにも解釈の余地があるのです。

(C)山ちゃん

LEiyAさんが撮影、加工を担当(C)山ちゃん

(C)山ちゃん

「目線はあそこ見て~!」とポーズ指導中(C)山ちゃん

撮影はサクサクと進み、冷蔵庫からビールを取り出すポーズや、屋根裏の物置スペースでビニール袋に入れられて収納されている姿などを撮っていきました。途中で衣装をチェンジしてからも、どんどん撮ります。

「野乃花、かわいい~!」「綺麗、綺麗!」と言ってもらえて、最高。普段言われない褒め言葉をふんだんに言ってもらえるのは、セラピーに近い感覚でした。癒されるというか、自分に自信が沸々と湧いてくる感じ。褒められることって人間には必要なことなんだ、と実感します。

ホメ言葉の中でも「売れそう、売れそう!(ラブドールとして)」には思わず笑ってしまいました。これはラブドール冥利に尽きる言葉!(←すっかりラブドール側の気持ちになってる)

撮影は順調に進み終了。

その場で1枚だけ加工してくれ、こんな感じになりますよという仕上がりイメージを見せてもらいました。うん、めっちゃラブドール感!!! そんなに弄ってないのに、このラブドール感は何!? ふわっとした空気感に包まれたような柔らかい雰囲気の写真。表情は勿論、身体もシリコンで作られたかのようなラブドールっぽさが出ている

「ラブドールを実際に見学に行ったら、今のラブドールは血管も浮いていて非常にリアルだったから、血管とかを加工で消しすぎない方がいいんですよ」とLEiyAさん。

私が気になっていた、ほうれい線や顔の歪みも全然気にならない。ほうれい線は加工で消してくれて、顔の歪みは撮影の角度で誤摩化してくれているそう。肌は血管こそ消さないもののツルツルのシリコン風で、関節のシワは消していきます。

写真データは加工が全て終わってから後日、送っていただくことになっています。着替えて元の姿に戻って終了。ここまでで約3時間ほどでした。ラブドールの野乃花から普段の自分に戻るのが名残惜しいくらい、不思議で素敵な経験になりました。

女性だけでなく、男性のお客さんもラブドールへの変身が可能(IMAさんの本業は女装メイクのお仕事なのです)。

世界で誰もやっていないラブドールへの変身という内容で、サブカルジャパニーズカルチャー好きな外国人観光客も喜びそうなサービスです。

本来なら、ラブドールは人間の女性を模して作られたもの。そのラブドールに生身の女性がなるという逆転現象は、異様なことのように思われるかもしれないけれど、生きるのがもうイヤで無機質な人形になって可愛がられたいというわけではなく(そういう人もいるかもしれないけれど)、ただ単純に「可愛いラブドールに近づきたい」というシンプルな動機から来ているのではないでしょうか。山ちゃんの変身願望はだいぶ満たされました。次はまた整形をしようか……。

(C)山ちゃん

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人間ラブドール製造所



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